君たちはどう生きるか

宮崎駿の新作映画「君たちはどう生きるか」を観た。観る前に少し情報収集したところによると、賞賛派と批判派の二局に別れているということだったので、果たして自分はどう感じるのだろうという思いで映画館に向かった。こちらでは日本語のオリジナル版は深夜しか上映されていなかったので、仕事に差し支えない土曜日の23時からの上映の予約をとった。映画館のの観客は10人ほどであった。幸い、夫は「映画はオリジナルで観る」という主義なので、一緒に日本語版を観ることに議論は必要なかった。小説でも映画でもそうだが、翻訳されたものは、もはや元の作品とは別のものになっているという気はする。キャラクターの喋り方や表現方法の全てが作品そのものなのだから当たり前である。なので、いくら時間帯的にドイツ語版の方が都合がよくても、それを観たいとはちっとも思わなかった。

さて、観終わった感想は上々である。宮崎駿作品特有のファンタジー要素や迫力のある斬新な表現方法、そして飽きさせないストーリー展開。普段は超朝型人間な私でも、途中で居眠りすることなく観続けられた。西洋人の夫の感想も上々だ。「あれほどの想像力を駆使して、複雑な要素を含む物語を1つにまとめ上げ、説得力をもって観客に語りかける技は、さすが宮崎駿だ。観て良かった。批判の余地は無い。」とのことだ。ただ、やはり日本語の音声から直接理解するのと字幕を見て理解するのでは違いがある。主人公の母親と義理の母親が姉妹だということは、日本語ではすぐに気づくが、字幕だと、ふと読み逃してしまいがちだ。

夫の気に入ったシーンは2つある。1つは、生まれる前の魂達が誕生を目指して天へ飛び立っていくシーン。もう1つは、物語の後半での主人公の以下のセリフである。「僕には悪意があったのでその石には触れられない」というセリフに心を動かされたようだ。ジブリが好きで気になっていた作品ではあるので、意を決して深夜に映画館に赴いたことに満足している。

新年の贈り物にもらった「幸運の豚」のお菓子